サラダ記念日

 

「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日

 

部屋は和室。よく晴れた日だ。気温は28度くらい。梅雨が明けてカラッと晴れているだろう。数畳しかない狭い部屋でエアコンはない。扇風機が一台ある。洗濯物なんかが干してあって生活感がある。丸くて茶色いテーブルに向かい合って食事をしている。おそらくこの2人は恋人なのだろう。もしくはかなり親しい仲だと思う。同棲を始めたばかり、もしくは付き合ったばかりで初めて恋人が家に来た。恋人のために料理を作った。メニューは誰もがすきなハンバーグ、豆腐の味噌汁に茶碗一杯のご飯。そしてサラダだ。7月6日、なんでもないただの7月の中の1日に過ぎない。そんな平凡な1日が「君」の「この味がいいね」の一言で特別な日に様変わりする。読んでいて気持ちが明るくなる、心を温めてくれる短歌だと思う。俵万智さんの短歌は何気ない日常をカメラで撮るように作られている気がする。自分も見たのではないか、感じたことあるのではないかと思わせる。何気ない日常、平凡な1日が特別な1日に変わるそんな瞬間に立ち会ってみたい。